不安に強くなるための最強の方法〜リラックスも貯めることができる?自律訓練法の実践①〜
不安に強くなるための最強の方法〜リラックスも貯めることができる?自律訓練法の実践①〜

不安に強くなるための最強の方法〜リラックスも貯めることができる?自律訓練法の実践①〜

コロナ禍での生活スタイルも, 今ではすっかり当たり前になってきました。

ここ数ヶ月で, これまで制限されていたイベントや行事が徐々に再開されており, コロナ禍以前と同じような生活に戻りつつあります。一方で, 感染者数は高止まりな状態も続いており, 多かれ少なかれコロナへの不安をまだ抱いている人も多いのではないでしょうか。また, 最近では, 混迷する社会情勢や円安, 物価高といった不安の種が日々の生活のあらゆる場面の中でたくさんあり, 「日々の生活を送ること=不安の種と戦うこと」と言っても過言ではありません。

こうしたご時世である以上, 不安は尽きないでしょうし, 気をつけるために大事な事だとは思います。しかし, 不安な状態がずっと続いていると, 「心も身体もクタクタになってしまった…」「気が滅入ってしまいそう…」というように, 不安を感じることに負担を感じてしまった体験をした方も多いのではないのでしょうか?

そう, 不安な状態が続くことは, いわば「不安なことに振り回されている」状態とも言えるでしょう。そのため, 不安なことはできるだけ減らしたほうがいいですが, そうは言っても簡単には減らせない…という方がほとんどかと思います。

そのため, このシリーズでは, 不安でいっぱいいっぱいな状態を変え, リラックスした状態に変えるトレーニングについてご紹介します!

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「不安な状態」は自分を守るセンサーによって引き起こされる!

そもそも, 「不安」というのは, 一体何者なのでしょうか?

結論から言うと, 不安は自分を守ってくれるセンサーのようなものなのです。

「え?不安は自分のことを散々振り回しているんだから, 迷惑な存在に決まってるじゃん!」と思ったあなた, そういう方にこそ, 不安との付き合い方を知るために, この話題はとても重要になってきます。

では, 「不安」とは何者なのか, その正体を探るお話に移りましょう。

「不安」と聞くと皆さんはどんなことをイメージするでしょうか。例えば…ドキドキする, 緊張してくるといった身体の反応, 心配したらどうしよう…といった心配や懸念などをイメージされる方が多いかと思います。

こうした状態になる時はどんな時でしょうか。もしかしたら, 嫌なことや心配なことに直面したり, それらを考えている時がほとんどではないでしょうか?そう, 不安とは人間が精神的なストレスを感じている時に出てくる反応なのです。

ここで, また最初の話題に戻るわけです。「どうして, ストレスを感じているのに, わざわざ自分の身体や心に負荷をかけてくるのか?」と。

John W. Barnhill (2020) では, 不安は恐怖に根付いており, その恐怖から生き延びるための重要な機能として作用するという風に, 不安の必要性を説いています。その中で, 人間は危険なことや脅威的な出来事に晒されると, 不安が引き金となって立ち向かうか逃げようとする反応が示されると説明しています(ちなみに, この時の状況を心理学では, 「闘争か逃走か」なんて呼んだりします。)

わかりやすい例がゾンビ映画かなと思います。ゾンビ映画の中の登場人物は, 異形の存在が襲いかかってくるという, とんでもなく危険な状況の中で, 「これからどうなるんだろう…」と不安感を感じ, 噛まれないように気をつけなければいけないので, 緊張しているはずです。では, そんな緊迫感MAXのシチュエーションで, ぼんやりとリラックスしていたらどうでしょうか? ぼんやり, リラックスしてたら噛まれて死んでしまう気がしますよね笑

ですから, 不安というのは, 危険なことに立ち向かうため, 逃げるために必要なセンサー的な役割を果たしており, ドキドキや緊張というものは, 嫌なこと, 危険なことに負けないために必要な反応であるわけです。

不安と身体の状態の関係とは?

では, 不安を感じる時に, どうして人の身体はこのような嫌な感覚を伴ってしまうのでしょうか?

それを知るためには, 人間の身体の状態に大きく関係する「自律神経」の働きについて知る必要があります。

自律神経とは, 人間の身体の働きのバランス, 調和を図る神経の働きのことで, 具体的には, 血圧, 脈拍, 呼吸の変化などのバランスを調整していると言われております (Philip, Low, 2020)。この自律神経が作用することによって, 身体の働きはバランス良く調整されているといえます。その働きについて, 以下で説明しましょう。

先ほど挙げたゾンビ映画の例で考えると, 登場人物たちはゾンビが襲ってくるという危険な状況に対して「闘争か逃走」をできるようにするために, あらゆる感覚がフルで働いている時なのです。このような状況というと, ドキドキしたり, 緊張する, 汗をかく, というように強張っているイメージがあります。こうした強張っている状態の時の自律神経は, 「交感神経系」という神経が働いていると考えられています。この神経が作用しているときは, ストレスが高かったり, 危険な状況に対処できるように身体の活動が活発になってきます。ですので, あらゆる感覚を働かせて, すぐに活動できるように身体が準備運動をする段階と言えます。

でも, リラックスしている時は, 不安な時に感じるドキドキや緊張は, ほとんど感じることがないと思います。どちらかといえば落ち着いているイメージですよね。このようにリラックスしている, 落ち着いている状態になっている場合は, 「副交感神経系」という神経が働いていると言われています。こうした神経が作用する事によって, 心身の疲労を回復したり, 活動に必要な心身のエネルギーを充填していると言われます。

我々の生活に身近なスマホでも, ずっと使い続けていると, いつかは充電が切れて動かなくなりますよね。人間も同じで, ずっと活動し続けていくと, 疲れ果ててしまい, いずれはバテてしまいます。そうならないためにも, 適度にリラックスする時間を設けたり, 休息をとって, エネルギーを補充をしており, 正にそこで副交感神経が働いているのです。

不安でクタクタな状態はなぜ起きる?

ここまでの話から, 自らの身に降りかかるストレスや危険に対処できるように作用する「交感神経系」と身体のエネルギーを充填し, 再び活動できるように作用する「副交感神経系」の2つの自律神経系の働きによって, 人間の身体の働きを調整しているのです。そして, 実際に働きを調整する上では, 一方の神経系が作用し終わったら, もう一方の神経系が作用する事によって, 適度に身体の機能が働き, 適度に身体の機能を整えていくわけです。

この2つの自律神経系が, 交互に作用するためには, ストレスのかかる状況とそうでない状況がそれぞれ切り替わる必要があります。しかしながら, 苦痛な状況, ストレスのかかる状況がそうそう簡単に切り上がることは少ないのではないでしょうか。いつまでも苦痛な状況が心にこびりついて, 心が休まらずに, いずれクタクタになっていくという…。

このように, いつまでもストレスな状況が近くにあると, ずっとストレスに対して身構えて, 心の休まらないザワザワした状態が続いてしまいますよね。ということは, 先ほど説明した理屈に則ると, ずっと交感神経系が働き, 強張った状態が続きます。そうすると, どうなるか?もうお分かりですよね?身体に必要なエネルギーが充電切れを起こして, バテてしまうわけです。つまり, 冒頭で出てきた「不安でクタクタ」な状態とは, 自律神経系のちょうど良いバランスが崩れ, 交感神経系がずっと働くようになり, 適度な休養が取れなくなっている状態と言えるでしょう。

極端な例ですが, このバランスが崩れきった結果, 様々な心身の不調が表面化した様な状態を指して, いわゆる「自律神経失調症」と呼ばれることもあります。皆さん, 名前はなんとなく聞いたことがあるのではないでしょうか。

ここまでの話を総合すると, 心身のバランスを崩さない様にするために, 不安やストレスな状況には長く居続けてることなく, 適度な距離感を保つこと, もしくは, あらかじめ不安, ストレスな状況を回避することが必要になってきます。しかしながら, このストレスが多く, 先行きへの不安を感じやすい昨今において, 苦痛に感じる場面から距離をとり続けられる人はそう多くないと思います。

そのため, 次回のコラムでは, ストレスを多く感じる場面であっても, 上手に対処し, マネジメントしていくコツの一つである「自律訓練法」のやり方をお伝えできればと思います!!

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