発達障がい子ども支援者必読!!個別支援計画の立て方
発達障がい子ども支援者必読!!個別支援計画の立て方

発達障がい子ども支援者必読!!個別支援計画の立て方

連携するために

 最近,発達障がいの子どもの数が増えていることから,”個別支援”というキーワードが,教育現場で叫ばれています。

このような個別支援をする上で重要となるのが,子ども・保護者・先生のニーズに応じて子どもの特徴を踏まえたかかわりに関する計画である”個別支援計画”です。

実際に,発達障害の子どもに対しては,個別支援計画を立てることが,法律で義務化されています。

しかしながら,個別支援計画が,何かの補助金を申請する手段として用いられる場合が多く,子どもの支援に活用するという点では,困難な場合が多いように感じます。

そこで,支援に活用できる個別支援計画の立て方を,保護者と学校の連携と相性のいい応用行動分析を軸に解説したいと思います。

個別支援計画の目的は,子ども支援のベクトルを揃えるため

まず,本来の個別支援計画の定義と目的について述べたいと思います。

個別支援計画とは,対象となる子どもの障害を理解し,長期的な(障害にわたる)展望をもつ支援を考えた計画である(山本・池田,2005)

目的:実態を把握して,個に応じた適切な環境を整え,支援者の指導,支援の方向性を一つにする(山本・池田,2005)。

つまり,保護者,先生,他の支援施設のかかわり方の方向性を示す手引き書です。

実際は,以下の立ち歩きが目立つ子どもの相談を例にした場合,以下の意見の違いが見られます。

担任先生:集団意識を持って,場面の切り替えをしてほしい。

保護者:自由で気ままに生活してほしい。

スクールカウンセラー:目の前の子どもが,成功体験を積み自尊感情を高め◎△$♪×¥●&%#?!。

それぞれの支援者の願望は,子ども主体ではあるもの一方で,自由と集団意識などの意見の矛盾が含まれていることがわかります。

なぜこれらの状況が起きるのかは,情報共有と目的が異なることがあげられます。

したがって,子どもの情報を客観的データとそれぞれの立場を明確にすることで,子どもの支援のベクトルを揃えることができます。

○個別支援計画は,具体的で,論理的で,実現可能にする。

それでは,個別支援計画を立てていくプロセスについて,説明したいと思います。

以下のプロセスで立てていきます。

1.現状の把握と共有:情報収集(性格,考え方,学習能力,問題の特定,今までの関わり)

2.理想の明確化:子ども,保護者,先生のニーズの共有とすり合わせ → 具体的・論理的・実現可能な目標を設定

3.現実と理想を埋める手段:保護者,先生,支援者(スクールカウンセラーなど)の具体的・論理的・実現可能な関わりを決める。

4.効果検証:かかわりの効果を検討する方法と日時を決める

1.現状の把握と共有

まず,子どもの現状を確認していきましょう。具体的には,子どもの得意と苦手,学習の取り組み状況,対人関係,学校生活などです。

話し合いの場合は,なるべく事実と判断を分けていくことが大切です。

たとえば,カウンセラーの”不安が見られる”という判断に対して,どのような場面で,どのような振る舞いがみられたから,不安を感じていると判断したのかといったエピソードレベルまで聞くことが大切です。

○困り場面だけでなく,良い場面についても聞く。

最終的な目標を決めるときに,必要なのは,良い場面を増やしていくということです。したがって,良い場面について,どのような状況で,そのような振る舞いをしたから,良い場面と判断したといったエピソードレベルまで聴取していきましょう。

○判断の根拠と選定で使える知能検査

知能検査も含めて情報収集することによって,子どもの実態の信頼が高くなります。

たとえば,ノートを書くのが苦手という問題でも,”普段眠れていないからノートが書けない”もしくは”短期記憶が低いから板書からノートを書き写すまでに何度も往復いて黒板を見なければいけないから”では,理由がことまりますよね!?

このように,子どもの頭の世界を理解するためのお助けツールとして,知能検査,発達検査は,有用です。

しかしながら,発達検査は,あくまでお助けツールなので,発達検査から考えるのではなく,子どもの観察される活動から考えることが大切です。なぜなら,知能検査は,知能の一側面を測っているにすぎないからです。

○シートを使えば,モレなく,丁寧に情報が収集できる。

シートを使うことをお勧めします。なぜなら,シートがないと,「この情報は,あの時の子どもの状況と一致する」などの自分の情報と一致する情報ばかり集める注意バイアスが働いてしまうからです。

以下,下に私が作成したエクセルファイルを添付しておくので,モレなく,客観的な情報収集のために使ったいただけますと幸いです。

○手順(全体から個へ)から考えていく

具体的な支援プロセスを山本・池田(2005)を参考に,解説したいと思います。

まず,

①.「気になる子シート」を記入。

まずは,気になる子をリストアップしましょう。しかし,目立たない子にも,注意を払うことです

不良などの目立つ子は,目立つからすぐに観察できるのですが,大人しい子は観察が難しいため,意識して観察しないと,情報収集が困難です。

お勧めは,不登校などにつながりそうな大人しい子を含めたリストを作成することです。

※目立たない子に意図的に注意を払う。

→ 目立つ子は,注意が向く。

②「家庭生活チャックシート」を記入

保護者の協力が得られるのであれば,家庭生活リストを使うのもいいでしょう。なぜなら,リストにすることで,近い保護者も客観的に情報が収集できるからです。

人間関係や,生活習慣の情報を収集することができれば,学校のギャップに気づくことができます。このギャップが,不安の高さや,考え方,ストレスの対処の仕方などの子どもの把握につながります。

2.理想の明確化:子ども,保護者,先生のニーズの共有とすり合わせ → 具体的・論理的・実現可能な目標を設定

これまでの子どものかかわり,保護者・先生のニーズ,発達検査,学習面をもとに,理想となる子どもの目標を決めていきましょう。

「個別支援計画シート」の記入

①,②と保護者,先生のかかわりをもとに個別支援計画シートを記入していきましょう。

気をつけるポイントは,書く手順です。

主訴 ⇨ 家族情報,学習状況, 授業・教科 学校生活・連携機関 家族本人の願い ⇨ 長期目標

この順に記入することによって,情報に基づく目標設定につながります。

3.保護者,先生,支援者(スクールカウンセラーなど)の具体的・論理的・実現可能な関わりを決める。

具体的な目標から,それぞれの立場でできる支援を考えていきます。対応を決める基準は,具体的・論理的・実現可能です。

具体的とは,自分のかかわりを映像でとったときに,他のメンバーが数えられる,文章にできる形式が重要です。なぜなら,チーム支援の場合は,関わりの共有がもとめられるため,説明できる形式にすることが必要だからです。さらに,

具体的にすることによって,想像と実行のギャップを埋めることができます。

論理的とは,理想と現状を埋めるためかかわりとして理由づけができているかということです。これによって,全員が関わり方は違うものの,共通の”理想と現状”に向けたかかわりのベクトルを揃えることができます。

実現可能とは,関わる人ができる範囲に収まっているかということです。スクールカウンセラーの中には,先生に対して子どもの話を丁寧に受容的に聞きましょうというアドバイスをいうひとがいるようです。しかし,全体の運営で忙しい先生方に,丁寧に受容的に聞きましょうは,もっと働けと言っているようなものです。

「先生,保護者の日常+αできるかかわり」という観点から対応を考えていきましょう。

対応のヒントは,エクセルの問題解決シートに記載しておきました。「先生,保護者の日常+αできるかかわり」の対応につながるかかわりがあれば,支援計画に入れていただけますと幸いです。

4.効果検証:かかわりの効果を検討する方法と日時を決める

関わりを決めたら,その効果を話し合う具体的な方法と日時を決めましょう。

理由は,2つあります。一つは,子どもの新たな効果的なかかわりにつながることと,もう一つはお互いの関わりの見える化です。対応が,効果が得られない場合は,異なる方法や目標設定ができます。効果があれば,チームでなぜ効果が出たのかについて話し合い,それを他のメンバーの支援に生かすことができます。

また,かかわりの見える化は,チームの情報共有として大切です。なぜなら,保護者は学校ないのことはわからないし不安である一方で,先生方も同様に伝わっているか不安であるからです。具体的な日時を決めれば,お互いの不安を払拭できるし,子どもに対して効果的な支援につながる効果検証になります。

※保護者・先生方の協力が得られない場合は,無理に決める必要もないかもしれません。あくまで提案までにして,先生・保護者ができる範囲で,子どもにとって効果的なかかわりができることが,大切だと考えます。

まとめ

1.現状の把握と共有:情報収集(性格,考え方,学習能力,問題の特定,今までの関わり)

2.理想の明確化:子ども,保護者,先生のニーズの共有とすり合わせ → 具体的・論理的・実現可能な目標を設定

3.現実と理想を埋める手段:保護者,先生,支援者(スクールカウンセラーなど)の具体的・論理的・実現可能な関わりを決める。

4.効果検証:かかわりの効果を検討する方法と日時を決める

の手順で考えていくことで,支援者のかかわりにつながる。さらには,チームメンバーのベクトルの揃った支援につながります。是非,この手順に従い,個別支援計画の立てて,子どもの成長と,保護者先生方の安心につなげていただいますと嬉しい限りです。

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