不安に強くなるための最強の方法〜リラックスも貯めることができる?自律訓練法の実践②
不安に強くなるための最強の方法〜リラックスも貯めることができる?自律訓練法の実践②

不安に強くなるための最強の方法〜リラックスも貯めることができる?自律訓練法の実践②

不安に打ち勝つ方法をご紹介するコラムシリーズ, その第二弾です。

前回は, 人は不安でいっぱいいっぱいな状態とはどういうことを意味するのか, 不安でいっぱいいっぱいになると, なぜ人の心身は疲弊してくるのか, そのメカニズムについてお伝えしました。

その話を踏まえ, 今回は, 不安でいっぱいいっぱいな状態であっても, 心身の状態をリラックスした状態に保つ事のできるコツである「自律訓練法」についてご説明したいと思います!

なお, 今回ご紹介する「自律訓練法」を実践した際, 場合によっては身体に違和感を感じる場合がございます。詳細は後述いたしますが, そうした違和感は一般的に望ましい変化とされますが, 稀に不快感などを伴う場合がございます。不快感を伴った際には決して無理せず, その場で中断して安静にするようにしてください。

自律訓練法は催眠術!?

自律訓練法とは一体何なのか?皆さん, その中身が非常に気になるかと思います。

自律訓練法とは, わかりやすく説明すると, 心身をリラックスさせる「魔法の催眠術」です!

「催眠術?なーんだオカルトか…」「催眠術なんて言い出すなんて…」という厳しい意見が聞こえてきそうですが…これは決して冗談でも, オカルトでもありません。

自律訓練法は, 特定の言葉を用いて, 自分自身に暗示をかけて, リラックスした状態を作り出すことで, 心身の緊張をほぐすことを目的としたテクニックとされています。このリラックスした状態を作り出すために, 以前の記事で説明した「副交感神経」が働くように, 自分自身の身体と心に暗示をかけていくのです。

催眠という言葉の意味は, 「薬や暗示により, 人為的に眠気を催させたり, 睡眠に似た状態にすること」とされます (引用:デジタル大辞泉, 小学館)。そのため, 自分の身体や心に暗示をかけて, 擬似的にリラックスした状態を作り出す自律訓練法も催眠術と言えます。実際, 自律訓練法は催眠療法の一つと分類されているため, 催眠術と言っても過言ではないわけです。

とはいうものの, 暗示をかけるだけで本当にリラックスした状態になるの…?と懐疑的な方も少なくないのではないでしょうか?かくいう私もその1人でした。では, どうしてリラックスした状態に変化できるのかを, 次のセクションでご説明したいと思います!!

身体をリラックスした状態にするとは?

このセクションでは, 自律訓練法を実施している時の身体の変化について, 前回ご説明した「交感神経系」と「副交感神経系」の話題に触れながらご説明したいと思います。

前回もお話しした通り, 緊張してバクバクするというように, ストレスがかかるような状況ではすぐに身体が活動できるように「交感神経系」が, 緊張した状態を落ち着かせるため呼吸が整っていくというように, ストレスがかからない状況で身体を落ち着かせるために「副交感神経系」が働いています。

この二つの神経系は, ストレスがかかる状況とかからない状況で, それぞれ入れ替わって働いているはずなのですが, ストレスを感じやすい状況に長く身を置いていると, 次第にストレスがかからない状況でも副交感神経系が働かなくなってきます。仕事の繁忙期は, 仕事が終わって家に帰ってリラックスしてても, なんとなく疲れが取れなかった, という体験をした方もいるのではないでしょうか?

このように, ストレスがかかり続ける状況に身を置き続けると, 人間は交感神経系と副交感神経系の切り替えが上手くできなくなり, 交感神経系がずっと働きっぱなしになるわけです。そうなるとどうなるでしょう?もうお分かりですね?そう, 常に気が張り詰めて, クタクタで疲弊してしまいますよね。常に緊張しっぱなしだと, 身体も心もクタクタになってしまうのは, 誰もが一回は経験したことがあると思います。その結果, 緊張感や不安感, イライラが慢性化してしまうわけです。

さて, 前置きが長くなりましたが…自律訓練法は, こうした交感神経系と副交感神経系の切り替えを, 自分自身の力でで再び上手にできるようになるために実施されることが多いです。実施の際には『自律訓練法は催眠術!?』でもご説明した通り, 自分自身に暗示をかけることで, 擬似的にリラックスした状態に変化させるわけですが, この時の変化を知る上で「催眠」というワードがキーワードになってきます。

催眠とはどういう意味でしたでしょうか?「薬や暗示により, 人為的に眠気を催させたり, 睡眠に似た状態にすること」ということでしたね。つまり, 催眠をかけることは, 眠気を催すことを目的としているわけです。自律訓練法も催眠をかけている技法であるため, 最終的な目的は眠気を催すような身体状態に変化させることなのです。

実際に, 自律訓練法を行った後は, 身体がぽかぽかしてきて, 眠くなってきたという方も多くいらっしゃいます。私が実際にやってみた感覚としては, こたつでぬくぬくと温まっていると, 次第に眠くなってくる感覚に似ています。

この感覚は科学的にも認められているそうで, 人の脳の働きの信号のようなものである脳波の働きが, 自律訓練法を実施している時には, 普段起きている際に出てくる信号ではなく, 睡眠時に出てくる信号である徐波が出てくるようになることが示されています。他にも, 実施中は手先や足先の血管とされる末梢血管の方に血液が多く流れていくことや, それに伴って手先や足先の温度が高まっていくことも示されています (五十嵐, 2001)。

このような, 眠くなったり, 身体がぽかぽかしてくるというような場面を想像してみると, ほとんどリラックスしている状態なのではないでしょうか。例えば, こたつでぬくぬくしているような場面や, 温泉に長く浸かって火照って来た場面だとわかりやすいかと思います。そのような場面で感じることの多い身体の感覚や脳の働きの変化が, 自律訓練法を実施している時にも見られることが科学的にも示されているわけですから, 自律訓練法の実施によってリラックス状態が擬似的に作り出されているのも納得していただけるかなと思います。

自律訓練法で期待できる効果

これまでの話から, 自律訓練法を実施することで, 心身をリラックスした状態に変化できるということをお伝えして来ましたが, リラックスと一口に言ってもどこか漠然としているのではないのでしょうか?そこで具体的にどのような変化や効果があるのかを最後にお伝えいたします。

一番イメージしやすい変化としては, イライラや不安感, 緊張感の低減ではないでしょうか。先述したように, ぽかぽかした状態や眠くなってくる状態に変化してくるので, イライラや不安感のように心が落ちつかない様子や, 緊張感など身体が強張っている状態とは一転して, 心身に落ち着きが取り戻されていくことは想像に難しくないかと思います。

こうした緊張感や不安感,イライラの低減のような精神的な変化以外にも, 身体的な変化も見られてきます。具体的には, 便秘や下痢などの消化器官の問題や, 頭痛や高血圧, 頻脈や不整脈などの循環器に関する問題, 甲状腺に関する問題に改善が見られるようになってくると言われています。

また, 具体的な困り事や心身の不調を抱いていない方でも実施することで, 今以上にメリハリのある生活を送りやすくなるというメリットもあります。例えば, 現在の生活状況から「なんだか疲れやすいな〜」と感じたときに疲れを癒すため, これ以上疲れを溜めないようにするために実施する事で, 自分の体調をコントロールできるようにもなります。他にも, 習慣的に実施する事で, 心身のスッキリ感を今以上に感じやすくなり, 仕事や家事の能率の向上や, 健康管理の面でも多大なメリットがあるのです。

いかがでしたでしょうか?自律訓練法を実施する事で心身の調整をする上でどんなメリットがあるのかを本記事ではご説明させていただきました。次回は, いよいよ自律訓練法をどのような形で実施するのかをご紹介させていただきます!!

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